あとがき
このたびは、「それはきっと甘やかな呪縛」をお読みいただき本当にありがとうございました。 実はこちらは呪術廻戦に狂い始め、初めて書いた呪術夢だったのですが、なんと、二週間で八万字も書いてました……恐るべし五条悟。先に支部で完結させ、サイトで…
それはきっと甘やかな呪縛
第二十話 それはきっと、
車は高速に乗り、都心から遠ざかっていく。外の景色がビル群から緑豊かな大自然に変わり、しばらく霧立つ山路を行くとやがて大きな寺院の前で停まった。「都立、呪術高等専門学校」 表向きは、宗教学校として別の名で登録されている私学らしい。その別名は…
それはきっと甘やかな呪縛
第十九話 風になりたい
その日七海健人は都立呪術高専の敷地内を歩いていた。「なーなみ!」 草むらから飛び出すうさぎのごとく現れたのは高専教師であり、特級呪術師の五条悟。うさぎとは言ったが、実際にはおよそ小動物とは言えぬ大きな図体と多くがクズと称するデリカシーを欠…
それはきっと甘やかな呪縛
第十八話 それでもなお傷む
「では名前を」 白衣姿の家入が言っては口を開く。「、28歳、血液型は■■型、板橋区在住、渋谷煌心女学園養護教諭です」「よろしい。では、これからいくつか図版を見せるので、それがなにに見えるか答えてもらいます。途中休憩が必要であれば都度申告をお…
それはきっと甘やかな呪縛
第十七話 枯れた白薔薇
ピ、ピ——規則的な音が響いている。たゆたう水面に体を預け、どこまでも漂っていたはまぶたを押し上げた。 目映い光が網膜を灼く。一面真白の世界。一瞬、そういう場所に来てしまったのかと思ったが、突如視界に女性の影が入り込んで彼女の思考は果てしな…
それはきっと甘やかな呪縛
第十六話 希う
京王井の頭線神泉駅における呪詛師による立て篭もり殺傷事件について 発生日時 2018年■月■■日 発生場所 京王井の頭線神泉駅 事件内容 呪詛師による立て篭もり及び殺傷 被害状況 死者 13名 (容疑者含む) 負傷者 2名 うち…
それはきっと甘やかな呪縛
第十五話 救世主はいない
肉塊や血溜まりを踏み、散らかったデスクの間を駆け、窓口を乗り越える。改札にはそこかしこに人間だったものが落ちていた。「先生、こっち!」 少女の眼を頼りに駆け抜ける。「こん、の、クソアマァァアッ」 背後で衝撃音が響いた。咄嗟に振り返る。先ほ…
それはきっと甘やかな呪縛
第十四話 夜の再来
「では五条さん、本日はこれより山梨での任務がありますので、そろそろ……」 高専職員室で机に脚を載せて自堕落に過ごしている五条に声を掛けたのは、補佐監督の伊地知であった。事務処理能力は特級のはずなのに、すっかり上司に振り回されることに慣れてし…
それはきっと甘やかな呪縛
第十三話 立ち籠める暗雲
妙な胸騒ぎがした。心臓のうねりは全身に巡り、背中の傷を疼かせる。職場に帰ったは職員室の新聞を一ヶ月分広げた。「先生?」 体育担当の男性教諭が新品のバレーボールを片手にやってくる。これから部活があるのだろう。すっかり部内ジャージを羽織ってい…
それはきっと甘やかな呪縛
第十二話 楽園の向こう側
の気分はまさにどん底だった。これまでこんなにも落ち込んだことがあっただろうかというほど、彼女の気持ちは深く海底に縛り付けられ、泥濘に埋まる貝のごとくそこから一切動き出すのを拒んだ。今まで早ければ二十分で済んでいた朝の支度もその倍以上はかか…
それはきっと甘やかな呪縛
第十一話 唯一の風
「二十二分と三十六秒、思っていたよりも早かったですね」 淡々と出迎えたのはロックグラス片手に優雅に脚を組む七海であった。「そう?」五条は軽い口ぶりでそれに答えながら前に座る。個室を囲う水槽には熱帯魚たちが悠々と泳いでいた。「それで、上の様子…
それはきっと甘やかな呪縛
第十話 無知の天国、地獄の全知
その後も可となく不可となく異性間交流会は続き、二次会に向かうかどうかという話題になったところではふたたび席を立った。「後藤さん、どう?」 鈍く光を反射する鏡面に並び立ったのは本日の案内人である先輩だ。にやにやと笑いながら、肘でを小突いて、…
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