第二幕 第十二話
それから暫く経って、すっかり万事屋は平和に包まれていた。「すみません、この特性デラックスパフェ二つ」 甘いものは別腹だとは良く言ったもので、お昼ご飯を食べた後だというのに、メニュー表を見て豪華なパフェを指差すわたしとお妙ちゃんに、髷に洋装…
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第二幕 第十一話
「神楽ちゃん、待って」 慌てて草履を足に突っ掛けるも、チャイナ服に身を包んだ女の子は鉄砲玉のように飛んで階段を駆け下りていく。その素早さに圧倒されて、わたしは思わず玄関先で二の足を踏んだ。 目指すは白い綿毛のような毛をたっぷりと身に纏った、…
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第二幕 第十話
それから数日。何事もなかったかのように穏やかな日が続いた。 昼間は万事屋の仕事の手伝いに、夕方からは三人とお登勢さんのお店に食べに行ったり、はたまた家で食卓を囲みながらテレビを見たり、ついこの間までと変わらない、いつも通りの生活に戻ってい…
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第二幕 第九話
真選組屯所の応接間にて、従業員二人を引き連れた坂田銀時は苛立たしげに体を揺すっていた。目の前には幹部である近藤と土方が並んでいる。どこか糸をピンと引いたような、あるいは肌を突き刺すような張り詰めた空気が漂っていた。「で、俺らはどうしてこん…
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第二幕 第八話
※中盤より先、モブに襲われる描写、残酷表現があります。苦手な方はお気をつけください。 「あなたは……」「こちらでなにやら諍いが起きてると聞いてやってきました」 真選組です、と胸元から手帳を取り出して見せたのは、山崎さんだった。きり…
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第二幕 第七話
「、行ってくるアル!」「さん、すみませんが留守中の戸締りよろしくお願いします」「気を付けてね。くれぐれも崖から落ちたり、変なキノコを食べたりしないようにね」 気合い十分に階段を駆け下りて行く神楽ちゃんと、律儀に頭を下げてからそれを追い掛ける…
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第二幕 第六話
「お妙ちゃんどうもありがとう」 光琳梅の描かれた湯呑から、玉露の芳ばしい香りがする。すう、とその香りを味わいながら、運んできてくれたお妙ちゃんに礼を述べると、彼女はふっくらした女の子らしい頬に笑みを浮かべた。「いいえ。たまにはさんにも息抜き…
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第二幕 第五話
客間の襖を締め切ると、雨の音は一瞬にして遠のいた。 口の中のザラつきを感じながら、座布団の上に正座をして、背筋を伸ばす。 目の前には、三人の男が控えている。近藤さんと土方副長に、松平様――この場合は松平長官と言った方が正しいかもしれない。…
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第二幕 第四話
「エエッ、養女ですか」 シャワーを浴びてすっきりした状態で居間へと戻ると、新八くんが出勤して来ていた。簡単に朝食の準備を済ませたあとに、皆んなで食卓を囲みながらわたしが「出て行く」という話を切り出すと、新八くんは眼鏡の奥でここぞとばかりに目…
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第二幕 第三話
そこそこに賑わう定食屋、衝立に遮られた畳の間に、二人の男が頭を突き合わせている。「それで、山崎。なにか掴めたのか」 丼をかっ込み、一人の男は言った。対して山崎と呼ばれたもう一方は、その丼の匂いに顔を顰めていたが男の言葉を受けるや否や「それ…
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第二幕 第二話
あの後、買い物した荷物を銀さんに任せて、わたしはターミナル近くの大江戸デパートに来ていた。《大江戸デパート》とデカデカ書かれた看板を見上げる。空高く聳え立つビルと、空に浮かぶ船が、なんとも近代的だ。 それから――。 ――本当、不思議だなあ…
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第二幕 第一話
「アレだ。お前もう諦めた方がいいんじゃね? 人生じゃねーよ、アレだよ、アレアレ」 今日もかぶき町は晴天だ。 雲ひとつない青空の下、呆然と立ち尽くすわたしの横で、銀さんが頭をボリボリと掻きながら欠伸を噛み殺して「ご愁傷さん」と言う。 目の前に…
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