Another Chance

きれいなハネでつつんで

 まるでおとぎの国に迷い込んだようなきらめくシャンデリア。皓々と目映い光の中でひらひらとトサキントの尾ひれのようにサテンが揺れる。 ここはガラル地方、ナックルシティからほど近い場所に位置するとある宮殿。たった今、シーソーコンビ――シルディと…

すてきなおちゃかい

 ホウエンから戻ってまもなく、エンジンシティジムでカブさんとのミーティングを終えたときのことだ。その日はいつも協力してもらっている定期調査の日で、マルヤクデをダイマックスさせてもらいスタジアムじゅうのガラル粒子濃度を測定したあと、依頼してい…

とってもグロリアス、だね?

 さて、ヨロイじまでウキウキのバカンス――じゃなくて、大興奮の調査を終えた私たちはようやく正式な休暇にありついていた。ガラル粒子測定器を持ち運ぶことも、ピッケル片手に洞窟へ突入することもない、正真正銘のバカンス。夏が過ぎたらすぐにシーズンに…

こうかはばつぐんだ!

「なんっで、ひと言も言わないの!」 昼下がりのブラッシータウン、ポケモン研究所。天井まで連なる本棚や温室型アトリウムのあるお洒落なそこに、私の心の叫びがこぼれだす。 優雅にアフタヌーンティーをするマグノリア博士の手前、それはひそひそ声に変わ…

ゲンガーくうきをよむ

 ガラルの夏はからりとしていて清々しい。ナックルシティ上空で起きているすなあらしをも見渡せるだろう晴天の空を眺めていた私は、「次、エンジンシティですよ」というタクシー運転手の言葉に軽く伸びをして放り出していた鞄を肩にかけた。「ありがとうござ…

episode.17

「キバナ」 よ、と肩を揺らす彼は、バトル中の獰猛な姿がうそのようにとても穏やかだった。同じく衣装替えをしたのか、今度はブラウンのベスト姿で小脇にジャケットを抱えている。やはりそれもすらりとした体躯に美しくフィットしていて、ゆったりとこちらへ…

episode.16

「ダイドラグーン!」「ダイナックル!」 キョダイマックス同士、一歩も譲れぬ戦いが繰り広げられている。だが、ジュラルドンのダイドラグーンの威力には勝てず、そのままゲンガーは真っ向から攻撃を受けてしまった。大きく体を揺らす相棒に唇を噛みしめるが…

episode.15

 デボンとマクロコスモス共同制作による新製品の発表が終わり、いよいよメインであるエキシビジョンマッチの時間がやってきた。 参加者であるガラルトレーナー陣のみならず他の来賓やゲストたちがパーティー会場から併設の特別スタジアムに移動し、いまかい…

episode.14

連れてこられたのは、人気のない奥まった場所にある部屋だった。「控え室前にはすでに何人か記者が待機していてね」 彼はそう言ってカードキーをノブに当てドアを押し開ける。中はさすがデボン所有の会館――とでもいうような瀟洒なつくりの部屋だった。きっ…

episode.13

 これぞまさに、出鼻を挫かれたというのが正しいだろう。関係者のみのパーティーとはいえ、当然新聞社やらテレビ局やら多くの報道陣がやってきている中、今夜に備えてダイウォールで先手を打つ前にダイジェットを放たれてしまったわけだ。 会場にいたルリナ…

episode.12

 恥ずかしい一面を晒して、思わずコオリッポのこおりフェイスをかぶってしまいたくなったものの、そのあとは午前中と同じくひたすら特訓と作戦会議に勤しんだ。 スタジアムでは心置きなくダイマックスさせることができるため、トーナメントに参加しないとい…

episode.11

ヘイ、スマホロトム、副社長秘書のお仕事を調べて。 と、いうのは、ここ最近の私の口癖である。そのたび言葉にできないような動画が出てきてしまうことになり、スマホ画面を割りそうになることもお馴染みの流れだ。「楽しみだね、ちゃん」 今日も今日とて、…