第二章

05

「なあたたら」「なに、ガジュくん」 いつものように一年五組のベランダで弁当を食べながら、他愛もない話をしていると、急に賀寿が思い立ったように箸を持つ手を止めた。「ずっと聞きてぇことがあったんだがね」「うん、どうしたの」「兵藤とはどんな関係な…

04

 五月序盤の連休も明けて、本格的に部活動が始まった。 は使用していたパレットを美術室の隅にある手洗い場で流しながら、ぼう、と窓の外を眺めた。 美術室のある場所は、四階だ。目の前には見渡す限りの家々と、青空が広がっている。一年の教室も同じ階の…

03

 ――富士田くんとちゃんって付き合ってるの? そう、クラスの女子から尋ねられたのは、つい最近のことだった。 その時、はきょとんとした顔をして、言葉を咀嚼するように目を瞬いたあと、ハッとして頭を振った。嫌に胸がどきりとしたのを隠して。 ――え…

02

昼休みも終了間近となって、屋上から教室に戻ると、多々良には不思議なことが起こった。「おい」 騒がしい教室で一人そうっと席に着くと、後ろから声を掛けられて多々良は大袈裟に肩を揺らした。「何かな、室井くん」引き攣った笑みで振り返る。「お前、アイ…

01

「えっ、兵藤くんが家に来た!?」「たーくん、しっ! 声が大きいってば!」 声を張り上げた多々良に、は慌てて人差し指を唇に当てて言った。「ごめん!」と多々良が肩を揺らして謝ると、はもう、と唇を尖らせた。それからぎこちなく視線を落とし、紙パック…