第四話
空は青く、澄み渡っていた。燦然と照りつける陽射しに懸命に背を向けながら、わたしは自らの背丈よりやや高い竿竹へと白い木綿布を掛けていく。 今日は一段と天気がいいからと本部横手の土手ではなく、さらにもう一段先の小高い丘の上で洗濯物を干していた…
落ちた花はどこへ流れる
第三話
赤とも紅ともいえぬ、その透きとおる見事な「あか」を背徳と言わずになんと呼べばいいのだろう。板間のすみに寄せられた小さな座卓の上に置かれた背徳の小瓶。普段イモやトウモロコシ、あるいは少しの米が主食のヒスイでは、あまり活躍することもない。それ…
落ちた花はどこへ流れる
第二話
コトブキムラは小さなムラだが、コンゴウ団やシンジュ団の集落をのぞいてこの場所以外、ヒスイじゅうの土地の開拓が進んでいないために、ムラの中だけでたいていのものは揃うと言っていい。野菜や肉などの食材はもちろんのこと、生活に必要な雑貨や衣服、娯…
落ちた花はどこへ流れる
第一話
階上に響きだしたふたつの声に、治療にやってきていた警備隊の人たちがまたかと肩をすくめる。ひとつは女性の、高すぎず低すぎず凛として透きとおったもの。もうひとつは腹の底からはるか遠く響いていきそうな咆哮に似た音。そのどちらも今となってはすっか…
落ちた花はどこへ流れる