幸せのプティ・フール

about this story
パティシエになりたかった女の子がキバナとフライゴンの胃袋を掴んだり、あくタイプのジムリーダーを寄せつけたり。支部にて更新したものを加筆修正し、完全版として掲載しております。

・オリ主≠主人公
・ネームレス夢小説(番外編・ダイゴ√にて名前変換を使用有)
・原作にない舞台裏の捏造や独自の解釈・設定有り
・ポケモンバトルの描写は少なめ

ゲーム軸より前の話であり、オリジナルストーリーで展開していきます。

main story

  • 栄養満点ガラルスコーン

     お母さんは、料理が得意だった。とくにお菓子づくりはパティシエ並みで、スクールから帰るといつもおいしいお菓子が私を待ち受けていた。 バターたっぷりのクッキーにしゅわっととろけるシフォンケーキ、モーモーミルクを使ったジェラートやキャラメリゼし…

  • ヌメラのねがいぼし

     きらり、きらり、水面が輝いている。 ガラル随一の都会、シュートシティ。ピー、ピー、とキャモメが鳴くのを耳に流しながら、私は運河沿いを歩いていた。しばらく優雅な散歩を満喫したところで、ヴーとお尻に振動が伝わる。取り出した携帯には一通のメッセ…

  • ふぞろいなプロフィットロール

     静まり返ったスタジアムの一室で独り、佇んでいる。 いつもはポケモンたちでにぎやかなそこも、今日だけはまるでリーグ戦が終わったあとのように冷ややかな空気で耳を塞いでは、妙に心臓を迫り立てている。 静寂と高揚、これまで幾度となく味わった感覚だ…

  • 魅惑のサヴァラン

     ふわり、漂う香ばしい匂いに、カシャ、という乾いた音が弾ける。「よし」 携帯を宙に掲げていた私は、画面に映し出された写真にひとりでに大きくうなずいて、淀みない手つきでそれを操作し始めた。 白い丸皿に載ったモンスターボールほどの焼き菓子。鮮や…

  • 焦げたカラメルソース

     しとしとと窓を鳴らす雨滴のようなピアノ・ジャズが流れていた。厚い灰色の空から雫が降りそそぎ、幾重にもカーテンを作る。すべての光を淡く遮るような、上等なレースのカーテンだ。 静かにドラムのハイハットが軋み、やがてテナーサックスの低音がするり…

  • きしかいせいのタルトレット

     夜明けまえの、しん、と濃密な空気が辺りを包んでいる。布団に潜らなければ、きっと凍えきってしまう。それなのに、ベッドの中にはあらゆるものが落ちていて、どこにも私の居場所はないようにも思えた。悲しみ、怒り、絶望、孤独、それから、彼のあのマシュ…

  • 幸せのプティ・フール

    「母は、お菓子づくりが得意でした」 スクールから帰ると、窓辺のキッチンには明るい光が灯っていた。カシャカシャ、トントン、あふれる美しい音色たち、コンポートのような淡い金色に染まる母の背中――今でも鮮明に思い出すことができる。「バターたっぷり…

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